きよの漫画考察日記2385 キン肉マン第63巻

さてティーパックマン、カナディアンマン、ベンキマンと三連敗を喫した正義超人軍、不穏すぎる雰囲気の中この男の出番です!
カレクック!
キン肉マンの歴史において最古参の超人の1人ともいえるカレクック、何年経ってもその見た目のインパクトは色褪せませんね。ちょっとカレクックのステータスも確認しておきますか。頭に何か載せるというのはキン肉マンにおけるお約束のキャラクター造形ではありますが、カレーライス載せたのはやはり斬新でしたよね。カレクックをインスパイアして作られたキャラクターがあのカレーパンマンだという噂もありますしw

そしてこのカレクックが挑戦する六槍客が…

マリキータマン!

マリキータとはmariquita、スペイン語でてんとう虫のことだそうです。不思議なことにキン肉マンにおいて昆虫をモチーフにした超人というのは極端に数が少ないレアグループに属します。キン肉マン本編に登場したことのある昆虫超人は自分が知る限りアトラスオオカブトをモチーフにしたデストラクションただ1人だけじゃないでしょーか。クモのコチラスやパジャンゴ師匠の弟子のシウバのように、蜘蛛やサソリは厳密に言うと昆虫ではありませんからね。それでも昆虫系を他に探せと言われると、もうゴキブリ家族しかいないのでは(笑)
さてまずはカレクックのターンから。

オールスパイスシールド!

食べ物粗末にするんじゃありませんとPTAに怒られそうな技ですが、それを言うことはカレクックに死ねと言うのと同じことですからね。さすがのPTAもカレクックに死ねとは言わんでしょう。
さらにこの技。

ガラムマサラサミング!

眼球にカレー、これぞ残虐超人カレクックと言わんばかりの技です。ちなみに眼球に入れられた時に最も苦しい食材は何かというと、ブッチギリでタバスコでしょう。タバスコは人を失明に追い込めるだけの力を持っていますよ、あれは。
さてカレクックに友情パワーを発揮させようと目論むマリキータマンでしたが…

カレクックの何が怒りと悲しみのみに囚われ生きてるのかというのは、こっちを読んでない人にはちんぷんかんぷんでしょうな。

カレクックの本名がシンであり、頭戴格闘術(マーラレスリング)免許皆伝まで残り1日まで迫るものの、恋に落ち、ついには禁断のカレーを頭に載せてしまうというこの奇天烈な展開は、キン肉マンには珍しく哀しいバッドエンドで終わりというストーリー。これを読むと残虐超人の悲哀が痛いほど伝わる名作です。これを読むと読まないとではカレクックに対する印象が全く変わってしまいますからね…

そして懐かしい三大残虐超人の設定へ。

ブロッケンマンの肩から、ハーケンクロイツの鉤十字マークが消去されていますね。まぁ今のご時世、ハーケンクロイツが体に刻まれたキャラクターを登場させることなんてできませんからね、仕方のないことかもしれませんが…そうすると肩に残った丸マークが逆に不自然さを匂わせてしまいますね…

でもやっぱ改めてブロッケンマンを見てみると、問題ありますわ。この見た目で毒ガス吐いちゃ、そりゃコンプラ違反です(笑)

さてまだまだ続くカレクックのターン。

マンダラファイヤーボール!

カレクックがまともに戦うのなんてほぼ初めての事ですが、頭のカレーだけではなくインド超人というその出自からヨガ関係の技が使えるので技の引き出しは多いですよね。ちなみにカレクック以外のインド超人としてはキングコブラ、サムゥ、ザ・ヘビースモーカー、アナコンダ、ティーグル、トールマン、アジャンタ師匠、不動ファイター、ザ・ガンダーラ、炎魔王などがおります。総勢11名の大所帯ですが、これはキン肉マンにおける超人輩出数国ランキング11位に留まります。現実では当然インドは世界第2位の人口を誇る大国なんですが…
それではインドよりも数多く超人を輩出している国を調べてみましょー!
(学研の図鑑「超人」に載っている超人に限定します。なおキン肉星やオメガケンタウリ星などは除外しました)
11位 インド 11人 ちなみにカレクックと同じカレー超人であるナンキーマンはスリランカ出身。
11位 エジプト 11人 有名超人はミスターカーメン一択。スフィンクスマン?誰それw
10位 メキシコ 12人 スカイマンとオルテガ、いかにもルチャっぽい超人の他に、フィッシングマンとかもメキシコ超人です。
9位 イタリア 13人 カニベースとゾローマン、超人弱小国の汚名はスカーフェイスとジャック・チーの登場で返上か。
8位 ソビエト連邦(ロシア含む)   17人 ウォーズマンミハイルマン親子に加えイリューヒン、スプートニックマン等ロボ超人大国。ロボ以外にもメテオマン、クリオネマン、OKANがいますが、シベリア出身のマンモスマンをソビエト出身と呼ぶのは少しはばかられるので除外しました。
7位 ドイツ(東西含む)    18人 ブロッケン親子にジェイド、そして我らがレオパルドンの出身国。渋いところではザ・ダンシャクやポルターガイストとかもドイツ出身。
6位 中国(香港含む) 20人 ラーメンマン以外に作中で活躍したのはマーベラス、死皇帝、テルテルボーイくらい。
5位 ブラジル 21人 ヒカルド、BUKIボーイ、屍魔王など、キン肉マンⅡ世になってから勢力を伸ばした印象。初代キン肉マンで言うとザ・フィッシャーズの2人はブラジル超人です。
4位 フランス 23人 ルピーン、ジャンヌ・スティムボード、タイルマン、ホークマン、モーターマン、ゲッパーランド、マックスラジアル等等、隠れた超人大国ではあるものの、哀しい事に柱がいない。
3位 イギリス 33人 ロビン一族とネプチューンマンの両巨塔。他にはギロチンキング、ダルメシマン、ザ・プラモマン、字・アルファベットなど。
2位 日本 64人 人数は多いものの、ウルフマンとザ・ニンジャの他はタトゥーマン、農村マン、カラスマン、ミキサー大帝、デッドシグナルとやや弱め。何故かネプチューンキングも日本出身。
1位 アメリカ合衆国 75人 やはり世界一の超人大国はアメリカ。かといって背景超人ばかりというわけでもなく、テリーマン、スペシャルマン、ジェロニモ、テリー・ザ・キッド、ジェシー・メイビア、ビューティー・ローデス、スカルボーズ、ペンタゴン、スクリューキッド、キング・ザ・100t、ミスターVTR、レックスキング、摩天楼、THE・リガニー、MAXマン、メルトダウン、シングマンとなかなかに粒揃い。
いかんいかん、脱線してしまいましたね。つーわけでさらに続くカレクックのターン。

デモリッション・アーサナー!

「デモリッション」とは「破壊」という意味ですね、Ⅱ世でのアシュラマンとボルトマンとのコンビ名がザ・デモリッションズだったことを思い出します。そして「アーサナー」とはヨガにおける瞑想の姿勢の事を指す言葉だそうです。
さらにこれでも止まらないカレクックのターン。

カレールーガウジング!

「ガウジング」は「えぐり取る」という意味ですな。でもカレーのスパイスには薬膳にも使われる素材が多く含まれていますからね、逆に傷が治ったりするのかもw
さてどこまでも続くカレクックのターン。

ガンジスブリーカー!

おぉ…これは良技かも。腕よりも脚の方が筋力があるのは言うまでもないことですからね、これはタワーブリッジより効くかもしれませんよ。

がついに引き出しを出し尽くしたカレクックに対し、マリキータマンはこの技から反撃。

ロールシャッハ・ドット!
対戦相手の深層意識を炙り出すという、相手の動揺を誘う以外に使い道の無い技です。とはいえマリキータマンはてんとう虫というその特徴を読者に対して強く打ち出していかなければいけませんからね…

さらにこの技。

コキネリツイスター!

てんとう虫の学名がCoccinellaなんだそーです。学名ってのは結構面白いんですよね、犬の学名は「カニス・ルプス・ファミリアリス」ですしゴリラは「ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ」ですしね。ちなみにヨツコブツノゼミという昆虫の学名は「ボッキディウム・チンチンナブリフェルム」です(笑)

さてもう止まらないマリキータマンのターン。

ミミックニードル!

てんとう虫は益虫です、彼らは農作物につく害虫を食べてくれる肉食昆虫だからです。それに対してテントウムシダマシは草食で、ナス科の葉っぱを食べてしまう害虫なんです。これさ、いったいどんな進化の過程を辿ればこんな分化を選べたんだろうねぇ、不思議だわぁ…
さてこの猛攻にも怯まないカレクック。

おぉ…ここまでカッコよく描かれる超人がこれまでいたでしょうか。黒い稲妻みたいなのも出てますし、作者のカレクック愛が伝わってきます。これはカレクック殊勲の大金星あるかも!

と思ったのも束の間、瞬殺されるカレクック。

天道 羽根抜刀!

急に和風なネーミングの技をぶち込んできましたね。キン肉マンはプロレス漫画だけあって、漢字のみで表記される技は少ないんですけどね。思いつくところでは…宇宙旅行、風林火山、阿修羅魚雷、超人絞殺刑、超人圧搾機、九龍城落地、不死鳥乱心波とかでしょうか。技名は漢字で読みはカタカナという今流行りのスタイルをキン肉マンは取り入れてはこなかったということですな。

つーわけで敗れたカレクック。

平凡なインド超人というのがちょっと笑えますねwインド超人というその時点でもう平凡でもなんでもないんだもんなぁ…

そんなこんなである意味予定調和の四連敗を喫した正義超人軍。そして最後に登場する六鎗客はこの超人。

ルナイト!

いそうでいなかった狼タイプの正統派系動物型超人ですね。動物型超人というのはなかなか活躍が難しいところもあるんですよね、バッファローマンとマンモスマンは別格級に活躍はしてるんですが、それ以外で活躍している哺乳類モチーフの超人はポーラマンやセイウチン、ガゼルマンにゴリマックスくらいのもんでしょうか。やはり動物系超人は噛みつきや引っ掻きがメイン攻撃になりがちですからね、扱いが難しいよなぁ…

がしかし正義超人軍の五連敗はないでしょうと断言できますね。だって正義超人最後の砦はこの漢ですから!

ウルフマン!

アイドル超人になり損ねただとか言われがちなウルフですが、リアルタイムでキン肉マンを観てた世代からするとウルフは確実にアイドル超人なんですよね。これはやっぱ劇場版の影響が強いのかもしれませんね…

さてさて。ウルフマンといえばやはり相撲技ですね。

居反り投げ!

相撲の決まり手は現在82手ありますが、その中に「反り手」という技が6手あります。自分の身体をそらせながら投げるというのは当然相撲では難しくて滅多に出ることはありませんが、ウルフマンからすればこれほどプロレスっぽく見栄えがする技は反り手しかありません。普通に寄り切りとか押し出しとかできるわけがないので、ウルフマンの課題点は「いかに相撲技で迫力を出すか」という点に尽きるのだろうとは思いますね。

そんなウルフからキン肉マンへ苦情が。

それはお前がハワイでメイキャップレスラーなんてやってたからじゃないのw

がしかし実はウルフマンを誘いに行っていたキン肉マン。

コヨーテマン親方が読み切りから本編に逆輸入されて初登場してますね。それにしてもこの時ウルフが王位争奪戦に参加していたらどーなっていたんだろうと想像してしまいますね。飛翔チーム戦でウルフが参加していたら…やっぱり先鋒として登場してホークマンと対戦していたのでしょうか。うーん、さほど結果は変わらなかったような気もしてしまいますねw

つーわけで続いてはこの投げ技。

撞木反り!

1960年に大相撲の決まり手というものが制定されて以来、一度も出たことのない幻の決まり手です。それどころか大相撲の歴史上でも1929年にたった一回だけの記録が残るまさに幻中の幻の決まり手です。そりゃそうでしょうね、相手の懐に入り込んでそこから肩に担ぐなんてとても相撲の技とは思えません。これ、未来永劫記録されない技かもしれませんよ…

しかしここでルナイトの反撃。

巨大化!

あまりありませんでしたね、こういうのも。もちろん初期にカナディアンマンが巨大化してた時代もありましたが、ここまで体格差のある対戦というのは…テリーマンvs魔雲天、ジェロニモvsサンシャインくらいのもんでしょうか。まぁキン肉マン史上最も体格差のあった対戦はミキサー大帝vsミートくんなんですけどね…

つーわけで巨大化したのはルナイトの性質によるものでした。

体が大きくなればなるほど体重に対しての体表面の割合が小さくなるので熱の放出を抑えられる、故に寒冷地へ行けば行くほど恒温動物は巨大化する、これがベルクマンの法則ですね。これはやはりその通りで、ロシアやアラスカにいるホッキョクグマとかヘラジカのサイズ見ると腰抜かしちゃいますもんね。つまりゾウやサイがもし寒冷地に適応していたら、それはもうとんでもないサイズになっていたでしょうね…

さてそれでも相撲で挑むウルフマン。

掬い投げ!

これはもう基本ですね。まわしを取らずに打つ投げ、これが掬い投げです。

さらにこの投げ。

下手投げ!

基本的に上手投げと下手投げの打ち合いでは上手投げが有利になることが多く、また下手投げは引きながら投げることから、偉大な横綱の得意技は大体上手投げです。朝青龍や日馬富士といったどちらかというと小兵力士の技なんですよね、下手投げってのは…

しかしここでルナイトも投げで反撃。

ルナイトボム!

これだとウルフマンの後頭部がリングに激突しないんじゃないか?という微妙な技です。むしろルナイトが両膝痛めてしまわないのかと心配になりますね…

そんなわけでウルフマンを相撲ですら圧倒するルナイト。

まぁ確かにウルフマンを投げたのなんてキン肉マンくらいしかいませんからね。超人レスリングならともかく、相撲という競技でならウルフマンを投げ飛ばせる超人なんてそういないでしょう。悪魔将軍を相手にしたって相撲ルールなら負けはしない、そんな期待値がウルフにはあるんですよね…

そんなウルフに対してルナイトはこの技。

ウォルフガングスパイラル!

ウォルフガングとはウルフギャング、狼のような戦士という意味であり、そこからドイツの人名としても取り入れられているそうです。あのモーツァルトの名前はウォルフガング・アマデウス・モーツァルトですから。それにしてもウォルフガングなんて名前カッコよすぎますよね、名前負けしちゃいますよ…

さてウルフマンの真髄はその心根にあると評する委員長。

いやいや、もう一つあるでしょ大敗北が。試合開始2秒くらいで失神した試合があるでしょにw

つーわけでトラウマを突き破ったウルフマン。

スプリングマン戦もこんな感じで引きちぎれればカッコよかったんですけどね。まぁ正義超人を単純に「筋力」という面で見るとウルフは相当上位に来そうなもんなんですけどね。バッファローマン→キン肉マン→ウルフマン的な感じでトップ3にランクインされそうな気配はします。

そしてウルフマンはこの技で反撃。

ルービックキューブ張り手!

この技ってルービックキューブマン以外にも使えたんですね。エドモンド本田の百烈張り手とどちらが強いか気になるところですがエドモンド本田は大関ですからね、やはり横綱の張り手の方が上手と見るべきでしょうか。

Source: アメーバ/きよの漫画考察日記